喪失

2006年8月6日

 ここ数日,出家したくなるくらい暑い日が続いていますが皆様いかがお過ごしでしょうか。え,私ですか? 私はもちろんげ,元…気……です………よ……………(溶)

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 大尊敬する作家,吉村昭氏が7/31に膵臓がんで亡くなったというニュースを新聞で読んで大変なショックを受けました。鷺沢萌女史や中島らも氏が亡くなったと聞いた時もそれはショックでしたが,鷺沢・中島両氏のような天才が夭折するのと吉村氏のような押しも押されもせぬ大家が亡くなるのとでは受けるショックも異質というか,「そこにいつも居てくれるはずの存在」を失ったようで悲しいと言うよりは狼狽に近いような衝撃を受けました。

 吉村氏の長編小説に「冷い夏,暑い夏」という作品があります。実弟が癌に蝕まれ死んでゆくまでの壮絶な闘病生活を描いた私小説で,弟に癌である事を隠し通す兄(作者自身)や家族の葛藤が読み進めるのも辛いような緻密さで描かれているのですが,吉村氏ご自身もこの夏の盛りに癌で亡くなったのだと思うと何だか気が遠くなるような思いがします。

 氏の作品で好きなものは文庫の表紙がすり切れるほど何度も何度も再読しましたが,この機会にまた一つずつ再読したり,まだ読んでいない作品を新たに買い求めたりしようかと思っています。最近自分自身が活字離れしていて日常会話でも適当な語彙が見つからずに呻吟する時もありますし,こんにちのだんだん変になっていく巷の日本語に流されたくないという思いもあります。音楽なんて好きなものを聴いたり弾いたりすればいいと思いますが,言葉にはやっぱり「現代ではこれが正しい」という基準がないと品位や格調というものが失われていく一方だと思うのです。

 …とか言いつつ,このページの日本語も普段は品格や品位とはかけ離れたものですが。

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